2月5日(金)昼間は片頭痛など体調いまいちだったのですが、何とか持ち直し、夜の“第2回空音らぼ「演奏家×音響」セミナー”に参加することができました。
http://soraotosha.jugem.jp/?eid=29
チェリストの中木健二さんをお迎えして、残響を変えて演奏いただき、音響について語っていただくセミナーです。
前半は音響弾き/聴き比べ。
■1.いつもの空音舎
バッハの無伴奏チェロ組曲からなのはわかりましたが、何番の何曲目かは知らない(^^; でも、そのくらいのほうが演奏の好き嫌いなしで聴き比べができて、僕には良かったと思います。
そのまま聴き続けていたいと思いましたが、まずは実験の場(^^;
■2.デッド
壁と2階手すりを布で覆い、司会のそらおとさんの声の響きも変わる中での演奏。
音がこもって聴くのがつらい音になるかなと予想していたのですが、楽器そのものの響きがダイレクトに聴こえてきて、その豊かさに聴きほれてしまいました。
ずっと後の質問で、チェロの箱の大きさを示して「まずは自分の楽器の端から端までを振動させるように」と答えていらっしゃいましたが、まさにそういう音を聴けました。
■3.ライブ
デッドにしていた布と、さらに参加者のコートなどもスタジオの外に出しての演奏。
とても華やかな音になりました。デッドで聴いた楽器そのものの音の記憶が残っていたので、この加わった響きが空音舎の響きなのかと。
1.と比べて、演奏自体もノリ良く弾かれていらしたような(中木さんのケースの金具が共鳴していたそうです)。
■4.柱状拡散体に布をかぶせて
柱状拡散体そのもの+布の両方の効果ではあると思うのですが、デッドからライブの響きの変化とは別の変化を感じました。音が無表情になったかのような感じました。
中木さんに演奏しての感想を伺っている中でもっとも印象に残ったのは、「その場で鳴らした音を聴いて、どういう演奏にするのかをポジティブに考える」ということでした。
僕は、音楽に対しては「演奏したいもの」が先にあって、ホールの響きに合わせてその「演奏したいもの」の実現に四苦八苦するのかなと想像していたので、ある意味、ホールによって「演奏したいもの」を変えてしまうというポジティブな発想には驚かされました。言い換えると「演奏したいもの」の定義が違っていたということですね。
もちろん、その曲の表現方法を何通りも何十通りも持ってなければできないことではあります。けれど、自分の出している音色をフィードバックして、より出したい音に近づくように右手左手の動きを変えられるようになりたいと心掛けてはいるので、それをホールの響きもひっくるめて大きくとらえていらっしゃるのだなぁと理解することはできました。
単純な「良い音」というものはないということもおっしゃっていて、日ごろ「良い音」と自分で使いつつも感じてた違和感はこれか、と大きくうなづいてしまいました。
今回も、1回1回、その響きでベストになるように演奏されていらっしゃるとのことでしたが、ここでふと浮かんだ「ホールの響きと演奏がずれるとどう聴こえるんだろう」という疑問が抑えられず(^^;、僕からわざとずらした演奏をお願いしてしまいました。
■5.もっと大きくて響かないホールで弾いたと仮定して
空音舎の壁の向こうに向かって弾いてるのだと感じました。ここまでの聴き比べがなければ気が付かなかったかもしれません。ここにいるお客様を無視して弾いているようなミスマッチ感がありました。
演奏後、仮定で弾くのは難しいですね、とおっしゃってました。想定外のお願いに応えていただき、恐縮するとともに感謝しています。
後半は、海外のホールの話を中心に。
ここで一番印象に残ったのは、あるホールでは演奏者が見えず音しか聴こえない安い座席があって、そこを音楽を学ぶ学生が買うのだけれど、そこに音楽が届くように弾く、というお話でした。
教室の発表会で先生から「ホールの隅まで音を飛ばすイメージで」と言われたり、アンサンブル仲間から「姿勢が前かがみで楽器が下がってるから音が飛ばない」と言われたり、そんなことまで思い出しつつ・・・まずは、楽譜をのぞき込まなくてもよいように眼鏡を視力にあったものに作り直そうと思いました(^^;
最後に、中木さんの演奏を堪能して(アンコールに2曲も応えていただき)終了となりました。
単に音響比較ならスピーカーから音源鳴らしたほうが良いわけですが、そこに演奏家の方のとらえ方や演奏の変化が加わるこのセミナーは、とても面白かったです。
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